栄光⼤コスモロジー – パート II

伊東不学 2023年6月
編集:リー・シーマンおよびトミ・ナガイ=ローテ
翻訳:飯田宗一郎(Google翻訳参考使用)

追悼

短い期間に親しい⼈が何人も亡くなりました。妻ニコールの弟フィリップ・ボーヴォワ、友人のジム・カミングス(彼は友⼈で仕事仲間のジョン・ケントのビジネスパートナーでもありました)、そして⽇本の従兄弟。

ニコルと私は、彼らをしのび、また彼らの魂への祈りとして、朝の追悼の儀式を始めました。この儀式が、彼らがこの世から抜け出すことの助けとなることを願っています。仏教の伝統によれば、魂が涅槃に至るまでに通過しなければならないバルドと呼ばれる⻑い「トンネル」があります。そのトンネルを抜けるには49⽇間かかり、その間、魂はカルマに関連するエピソードに引き付けられたり、脇道にそれたりする可能性があります。死者の魂がまようことなくトンネルを抜けるよう、親戚や友⼈が49⽇間祈るのはこのためです。ニコルと私はフィリップ、ジム、そして私のいとこのためにその祈りを行いました。

儀式のあいだ、私たちはダライ・ラマがマハ・ムリティユナジャヤ・マントラを唱えるのを聞きます(https:// soundcloud.com/mantramrityunjaya/dalai-lama-chanting)

16年前、私はバルドを通過するための開放系のアプローチとして栄光⼤コスモロジーを構想しました。そして、今試している朝の弔いは養気系のアプローチです。⾺老師の太極拳ウォームアップである五防保健功(⽂字通り「健康を維持する5つの方法」)を養気系天真五相(天真五相)に加えて使用しています。

幽玄

⽇本の古典演劇である幽⽞能は⾮常にドラマチックで、とても古くからあり、象徴性に満ちています。能では、主⼈公が舞台に出てきて、続いて別の登場⼈物が登場することがよくあります。それは森の中を歩いていて突然幽霊に出会うような登場の仕方です。幽霊というと怖いイメージがありますが、能の主⼈公は少しも怖がりません。幽霊は亡くなった⼈であることが多く、後悔を語り始め、最後に主⼈公と幽霊は会話することになります。幽霊は⼈生の後悔をすべて共有し(カウンセリングや心理療法のようです)、その後、姿を消します。

能の創始者である世阿弥は、能楽の基本的な概念である幽⽞についてたくさんのことを語りました。幽⽞とは「奥深い優美さと繊細さ」を意味します。それは⽇本の⽂化と美学の根底にある3つの古い理想の1つです。世阿弥は、若い能楽師が幽⽞を舞台で表現するのはほぼ不可能であり、幽⽞を理解する前にある程度の成熟度に達する必要があると述べました。私にとって幽⽞という概念は能楽堂の幽霊たちに深く結びついています。しかし、これは今では当然のことのように思えますが、若い頃は理解できませんでした。

私は、ビル・ピーターソン、ジュリエット・ファーコウ、クリストフ・バーナード、アナマリー・グラデイナー、ジョー・ザヴィエルスキー、ジョン・シーマンなど、亡くなった新体道の友⼈や生徒たちの追悼式を折々にリードしてきました。そのときの感覚は⾮常に開放系的で、強い気のエネルギーを彼らに対して表現していました。しかし今、私が行なっている朝の追悼の儀式は養気系であり、より柔軟で、受け⼊れるものです。私にとって養気系稽古とは本質的に幽⽞の表現です。

ニコルと私は朝の儀式の際、フィリップとよく出会いました。それは能の舞台と同じように、怖くはありませんでした。実際、とても⾃然なことのように思えました。フィリップの後ろには、ニコルとフィリップの両親が見え、タイムトラベルのように、別の現実につながっているように感じられました。 それは怖いというよりも、むしろ喜びであり、安心感を感じました。この世とあの世の区別はありません。

エピローグ

新体道は武道から来ており、私は若い頃、指導していたときに生と死についてよくはなしました。しかし稽古中、死が隣にあるということを本当に考えたことはありませんでした。ダイビングを学び始めて初めて、死がどれほど⾝近であるかを知りました。ダイビングでは、1つの⼩さなミスが命取りになる可能性があります。それを知ることで私の新体道の教え方は⼤きく変わりました。私は今目の前の生と死をもっと尊重することを学びました。死は怖いものですが、フィリップが両親と一緒にあらわれたときはそうではありませんでした。むしろ「ああ(よく来た)!」という感じ でした。

フィリップの死から49⽇間の朝の追悼の儀式を始めましたが、途中でジムが亡くなり、次に私のいとこも亡くなったので、49⽇間の儀式は積み重なり延⻑されました。 そして今では、『ワタシよりも先に逝く人たちの為にずっとこの瞑想を続けていこう!』と思うようになりました。

謝辞 – これらの経験を⾔葉にするのを⼿伝ってくれたリー・シーマン (Lee Seaman) ⽒と トミ・ナガイ=ローテ(Tom Nagai-Rothe )⽒に多⼤な感謝 を申し上げます。