献花印歩行

ごく最近、著明な数学者である岡潔と、批評家の小林秀雄の対談を読みました。小林秀雄は岡潔に1という数字はどういう意味か、数学的な答えを期待して質問しているのですが、岡は「1」とは赤ちゃんが最初に立ちあがるときです、と答えました。脳は、神経、筋肉、バランス、重力について学び、判断しなければなりません。こうした経験が赤ちゃんは世界を理解する方法になります。つきつめていえば、1とは統合するということです。

歳をとれば、立って歩けるということが非常に重要になります。高齢者はすべて、できるかぎり自立して生活したいという願いをもっています。動けるということは、独立しているということに欠かせないのです。
高齢者に教えるにあたり、皆川正先生とリー・シーマン先生は、彼らがからだを安定させるのに、テーブルやイスにつかまらなければならない必要がある場合があることに気づきました。しかし、稽古にともないバランスや筋力は改善され、しばらくたつとテーブルやイスなしに立ったり移動することができるようになります。そして、そうできることで、非常に大きな自由と自身を感じるのです。朝にバランスのとれたよく考えられた5,6ステップの動きを行うことで、一日をいいリズムではじめることができ、動きに自信を持つことができると考えています。

立位十瞑想法の6の型より
からだのバランスがとりにくい方が献花印歩行をより簡単におこなうため、以下の変化を加えました。
1. 足をそろえて立つ(閉足立ち)をするのではなく、足を平行に開いてたつ(太極拳の立ち方)。足の幅はつま先からかかとまでの長さくらい。バランスがとれ、しっかり立てる足幅とする。
2. 最初に重心を左足に移してからはじめる。次に右足のかかとを上げる。つま先は地面につけておく(以前は右足を地面と平行にしていたが、これは不要だと思う。)
3. 右足を前にすすめる。足をすすめる最後につま先をあげ、一歩ふみだす。
ポイント:まっすぐ足をすすめるのではなく、ジグザグに全身する。右足は(少しだけ)右ななめ前方にすすめる。左足も少しだけ左ななめ前方にすすめる。

以上