大我-宇宙の旅-2013年3月

大我-宇宙の旅
伊東不学

最近、世界中で稽古することを、自分がどれほど楽しんでいるかについて、考えていました。みなさん一人ひとりから、とても多くのことを学んでいます!
今年は飛行機での移動をすこし減らしましたが、次の三つのことに助けられ、大宇宙を自由に旅しています。
(1)すわって片手で行う天真五相(折りたたみ椅子を使います)
(2)ほしぞら体操
(3)母が数年前、脳卒中でたおれる少しまえに書いた詩

四つの基本的状態である、自我、無我、真我、大我については、知っている方が多いとおもいます。このなかで大我について、多くのことを椅子にすわって片手で行う天真五相、ほしぞら体操、母の詩からまなびました。

椅子にすわっての片手での天真五相はとてもゆっくりと、もう一方の手もからだのそばでしっかり意識して、おこないます。ゆっくり、注意して、両方の側を交代でおこなうように気をつけています。椅子が重力を受けとめてくれるので、ほとんど力をいれずに動くことができます。手やからだが動いて(sweep)いくにつれて、すべての細胞が、まわりの細胞とのただしい位置におさまっていきます。そうなるには時間がかかりますから、急がないことが大切です。太極拳で学んだ、ゆっくり動くこと、十分に動くこと、そしてリラックスすることを意識して行っています。正確にできたときには、気のエネルギーが全身をめぐるのを感じることができます。下にある大地、上にある空、そしてまわりの人たちとつながります。目標がさだまり、生まれ変わり、あるべき場所に帰ったと感じます。

ほしぞら体操では、夜外にでて、空に、星々にむかってのびあがります。その時、ひとつひとつの星が上方に、自我の外、よりひろい宇宙へと引きあげてくれているように感じます。ときに、もどってくるのが難しいことがありますが、まだやるべきこと、完成していないことがありますから、もちろん、ここにもどってきます。終わったときにはいつも、前よりリラックスして、平和と、つながりを感じます。

母の詩についてですが、日本では「辞世の句」を書くという習慣があります。人生最後の詩と訳されることがありますが、人生の要約、というほうが正確だと思います。母は大我について洞察していたと、確信しています。母が数年前、とても重い脳卒中になったことはご存知の方が多いと思います。母のからだはまだこの世に、日本の病院にありますが、大我はすでに旅をしていると考えています。
母の句は次のようなものです。

死して後、始まる宇宙の旅路かな!

みなさんが、稽古で同じような理解を手にされることを祈っています。

付記:いつものように、英語での表現を助けてくれたトミ・ナガイ・ローテとリー・シーマンに感謝します。
訳注:原文は英語で作成され、http://www.taimyo-e.net/

に掲載されています(タイトル「DAIGA:Traveling the Universe」)。
翻訳についての責任は飯田にあります。